三郷市T邸 「おじいちゃんのお家は寒いから」

Tさんのお困りごと

「とにかく寒いんだよね。孫がね。おじいちゃんのお家は寒いから嫌いって言われてさ。」
Tさんとお会いしたときの第一声でした。

Tさんはお仕事の都合で寒い地域に出かけることが多く、寒い地域は「窓は二重が当たり前。断熱をしっかりしないと。これからからは、体が大変だからね。」とお話しくださり、断熱リフォームを計画していたそうです。

ご主人「南と東に緑を置き暑さを耐え凌いでいました。」

 

調査をして分かった事

三郷市の住宅街のT宅は平成6年(1994年)に建てられた2階建ての住宅です。このころから、関東でも断熱材が壁の中に入るようになりました。それまでは、壁の中は空気しかありませんでした。

平成6年当時のレベルは壁に5センチ、天井裏にせいぜい10センチ、床下(床裏)には5センチ程度が主流です。Mさんのお宅も断熱性能はその通りでした。 これでは夏、2階が暑くて使えないのも当たり前で、冷房は効かないはずです。

屋根裏に入ると、気流止めと呼ばれている施工がなされていない。一部には断熱材が敷き込まれていませんでした。悲しい事ですが、90年代に建てられた住宅ではこのような住宅をよく見かけます。中には、断熱材が一切敷き込まれることなく、一か所に積み上げられている。このような酷いケースもいくつか出くわしています。

ちゃんと敷きこまれていない、隙間だらけの屋根裏天井の断熱材。
綺麗に一列断熱材がない屋根裏。材料が足りなかったのか?

キッチンの床下収納から、床裏に侵入し、床の断熱を調査したところ、床裏と断熱材が接していませんでした。これでは断熱ができません。断熱材は床裏の下地材にピッタリと接していなければ意味がありません。

1階の床裏の断熱材の様子。ところどころ剥がれ落ちている。
1階和室の床裏。畳が断熱をするからという理由なのだろうか?

全て写真を撮ってご主人に「申し訳ないですがすべてが怪しいです。この際ですからすべて断熱材は外してしっかりやり直しをしましょう。」と私は申しあげました。

一度、壁の工事を含むまるまるすべてのリフォームの御見積を提出しましたが、「寒い。暑いが楽になればいいから。それ以上は望まないから。」Tさんからは、老いのことも考慮して、本当にこれだけは最低限必要な提案をして欲しいと、ご要望を預かりました。

断熱リフォームで費用が掛かるのは壁です。ここを省くことで費用は1/3になります。そこで私は、壁なしで断熱リフォームをすることを計画。私のお客様でもありブレーンの大学教授にもご指南を仰ぎました。

天井はグラスウール350ミリ吹込み、床下120ミリ現場発泡ウレタン吹付、窓はLow-Eガス入りペアガラス入りの内窓プラストにしました。Tさんの希望もあり、和室の雪見障子を活かすためにこの窓だけは真空ガラスに交換しました。床裏の断熱材は一度すべ取り外し、現場発泡ウレタンを120ミリ吹き付けることとしました。壁は既設のまま50ミリ断熱のままです。

内窓プラストを設置した窓。透明でないタイプもあります。

天井裏で細かく刻んだ断熱材を機械で送風して降雪機のように散布しています。南関東で35㎝の吹き込みは基準値よりもだいぶ多いですが、天井裏の熱を室内に伝えないようにするには必要です。

現発泡ウレタンを吹き付け、原稿の基準の3割増しの性能を持たせました。

壁以外はすべて、東北地方で求められる性能を持たせています。高断熱ガラスの熱反射効果を発揮させることで、壁の性能を補う事としました。壁は94年当時の性能ですが、建物全体の性能は現状の断熱基準よりも2割増しの性能としています。

 

工事後は「とにかく生活が楽」

「朝も全然苦にならずに起きられますよ。楽になった。満足しています。」とご主人。

今まで各部屋を閉め切って、それぞれ暖房を運転していたのが、工事後は1台のガスストーブだけで暖かいとのこと。1階DKに置かれたストーブで、1階だけでなく廊下・玄関・階段を上って2階まで暖めてくれる。寝る前にストーブを切っても朝まで寒くならないので、「夜中トイレに起きても楽になったし、何より家に帰って玄関を開けると、別世界。とにかく暖かい。」

Tさんにお願いをして自動記録型の温度計を家中につけさせていただきリフォーム後の冬と夏の温度測定をさせていただきました。

2012年2月の測定

室温が21度になることがないので、「暖房は入れなかったのですか?」と質問しましたところ「温度設定20度で暖かいよ。すぐ止まっちゃう。それに、少し動いたらうっすらと汗かくぐらい。」とご主人。

1階2階との温度差は2度ほどしかありません。「体が楽だよね」とは奥様。寒くないので「着替えも慌てることがない。」とはご主人。

2012年7月の測定

外気が35度を超える猛暑日でも2階の天井面の温度は30度を超えることはありませんでした。35㎝の断熱材のおかげです。湿度は55%を超えることがありませんでしたので、「扇風機を使えば大丈夫なのだけど、少し動くとやはり汗がにじむので、除湿で運転した。冷房にすると肌寒く感じるくらい。」とはご主人。

すだれの効果の検証

2階のお隣同士のお部屋の片方のお部屋にすだれを設置したそのお部屋は、酷暑でも天井も床も30℃をキープできています。すだれのあるなしで最大で5度ほどの違いがあります。

住宅の断熱性能は年々高まっています。2011年以降の住宅は壁の中にもしっかりと断熱材が入っていますので、この事例よりもさらにより良い環境を手に入れることができます。断熱性能が高まるほど、窓の重要性は増し、ガラスの選択によって、快適度は大きく変わります。